acu-powerの考えるコンディショニング


 
acu-powerが考えるアスリートのコンディショニングとは、シーズンを通してベストなパフォーマンスを発揮するために故障しにくい身体を作っていくことだと考えています。それには、柔軟性のあるゴムのような筋肉と十分な関節可動域を確保することが大事なのではないでしょうか。acu-powerが行うコンディショニングとは、鍼を使って筋肉のタイトネス取って筋肉を限りなく最良の状態に戻すことです。そのためにいくつもの徒手検査方法を用いて、施術者は選手の身体からタイトネスを感じ取り、選手は自身の身体から疲労や張り感を感じ取って、選手のコンディションを把握していきます。そして得られた情報を基にして施術方法を決めていきます。
 
下記に示したコンディションをチェックする方法は、腰・臀部・下肢の筋のタイトネスを見るためのものです。他にもいくつもの方法がありますが、よく使う方法を紹介させていただきました。また、たとえば肩関節周囲の筋のタイトネスを見る方法では、肩甲上腕関節を外転させる方法(Combined Abduction Test : CAT)や、肩甲上腕関節を水平内転させる方法(Horizontal Flexion Test : HFT)などを使っていきます。もちろん、頸部や肘、膝、足首など対応した様々なスペシャルテストや、腱反射や知覚検査、筋力テストなどの様々なテストを用いて選手のコンディションを把握していきます。
 
施術後にもっとも大事なことは、施術前と同じ方法にてどれくらい可動域や施術者が感じるタイトネス、選手が感じる張り感や疲労感が変化しているかをチェックすることです。もちろん、あまり変化しない場合もあるかもしれません。そういった時は別の要因が隠れているのかもしれません。“選手とともにコンディションを共有する”ことが、互いの信頼関係の構築のために、選手自身のコンディショニングのために大事なことではないかと、acu-powerでは考えます。
 
下肢伸展挙上角度
(Straight Leg Raising : SLR)
一般的には、坐骨神経の伸展テストとして用いられますが、ハムストリングのタイトネスがある場合には坐骨や膝関節周囲に選手は張り感を覚えます。通常であれば下肢を挙上して80°〜90°まで抵抗を感じることなく挙上しますが、ハムストリングにタイトネスが存在する場合には、それよりも前の角度で施術者は手に脚の重みを、選手は張り感を感じます。acu-powerでは、およそ80°以下を陽性所見としてハムストリングを施術対象とします。また、施術後にもこのテストを実施して、施術前とのハムストリングの張り感の変化を体感してもらいます。
踵臀間距離
(Heel-Buttock Distance : HBD)
選手にはうつ伏せになってもらい、施術者が膝を他動的に自然に止まるまで曲げていきます。この時に踵が臀部にしっかりとついているか、それとも踵と臀部の間がどれくらい隙間があるかを見ます。大腿部前面にある筋群の柔軟性が保たれている場合は踵が臀部に楽につきますが、大腿前面の筋群にタイトネスが存在すると踵と臀部の間に距離が生まれてしまいます。その距離を施術者は自身の指で評価します。例えば、踵と臀部に指3本分の隙間があれば3FD(Finger Distance : FD)とします。acu-powerでは0FDでなければ大腿前面の筋群を施術対象とします。施術後にもこのテストを実施して、施術前とFD間の変化や大腿前部の張り感の変化を体感してもらいます。
トーマステスト (Thomas test)/
エリーテスト (Ely test)
大腿部前面の筋群、股関節屈曲筋群のタイトネスを見るテストです。選手には、仰向けになってもらって非検査側の脚を胸につけるように抱えてもらいます。この時反対側の脚が、ベッドから浮いているかをチェックします。膝までの大腿部が浮いているようなら股関節屈曲筋群のタイトネス、膝を越えて下腿まで浮き上がっているようだったら、大腿四頭筋のタイトネス、また股関節が外旋し膝が外へ向くように浮き上れば縫工筋のタイトネスを考えます。いずれにせよ、このテストだけで判断せずにHBDなどの結果とあわせて、どこにタイトネスが存在するのかを判断していきます。
フェイバー ( Faber)/
パトリック ( Patrick) テスト
股関節と仙腸関節に存在する軟部組織と関節の機能異常を調べるテストです。このテストでは、スポーツ選手に多い鼠径部痛痛症候群や股関節インピンジメント、関節唇損傷の可能性をチェックします。選手に仰向けになってもらい、検側の脚を反対側の膝の上に置いて股関節を屈曲、外転、外旋させていきます。さらに施術者は対側の上前腸骨棘に手を置いて可動域を広げるようにします。この時、ベッド面と膝の高さを計測します。左右差が強い場合は、ベッド面と膝の高さが大きい方を陽性とし、股関節インピンジメントや関節唇損傷などを疑います。また体の前面、鼠径部や大転子周囲に痛みが出れば股関節周囲の機能異常、体の後面、仙腸関節部周囲に痛みがあれば仙腸関節の機能異常を考えます。
股関節内旋・外旋
選手を仰臥位・股関節屈曲・膝関節屈曲の肢位、または腹臥位・股関節伸展・膝関節屈曲の肢位から他動的に股関節を内旋と外旋させて、股関節の動き、タイトネスを見ます。通常、股関節内旋・外旋の関節可動域(Range of Motion : ROM)は45°と言われていますが、おおよそ正常と思われる範囲の可動域が保たれていれば問題視しませんが、ここで重要視するのは運動最終域での感じ(end feel)です。もう少し押し込めば動くような柔らかさがあるのか、またはカチっと止まってしまうのか・・。ROMとあわせてend feelから股関節の動きを制限している筋を見つけ出していきます。一般的には、外旋が制限されることが多いと感じています。
股関節内転・外転
選手の仰臥位から股関節を外転と内転させていきます。通常、股関節内転の関節可動域(Range of Motion : ROM)は20°前後、股関節外転のROMは45°前後と言われていますが、ここではROMについてはあまり重要視していません。股関節を内転させた時に検側の臀部がしっかりと床についているかどうか、股関節を外転させていくにつれ股関節が外旋していないかをチェックします。前者では、臀部が床から離れていく場合は大腿筋膜張筋や中臀筋などのタイトネス、後者では、縫工筋のタイトネスを考えます。どちらも施術対象となります。



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